つきじだより

つきじだより5

酷暑と水害の今夏ですが、皆様お元気でしょうか。
水害に遭われた方々に、お見舞い申し上げます。

同窓生の井部俊子さんが、日本看護協会出版会の社長でいらっしゃるのをご存知と思います。この出版会から、【看護の知】というシリーズ本が出ています。これは看護学の博士論文を読み物として出版し、広く知ってもらいたいという意図で始まったと聞いています。

看護学の研究では、看護の場面で何が起こっているかをつぶさに観察した内容や、当事者にインタビューした内容をデータとする研究方法があります。こういう研究を質的研究と呼んでいますが、これを学術雑誌に投稿できる短い論文にまとめるのは大変難しく、本にして発表できるこの企画は、とてもありがたいと思います。

2017年に出版が始まり、現在までに11冊が出版されています。このうち以下の5冊が、聖路加以外の大学院で書いた方も含め、聖路加の同窓生の手になるものです。出版順に著者とタイトルをご紹介します。

島田多佳子さん:いかにして患者の「気持ちいい」は生まれるのか
蛭田明子さん:亡くなった子どもと「共に在る」家族
福田紀子さん:「医療事故」に関わったスタッフを支える
中村順子さん:スタッフを「活かし・育てる」訪問看護管理者の関わり
川端愛さん:進行がんを患う人が語る「死」

同窓生が紡ぐ看護の知が、同窓生が社長をしている出版社から出ている!なんとも嬉しいことです。是非、手にとって読んでいただけたらと思い、ご紹介しました。

もう一つ、母校の話題です。
7月15日の土曜日に、母校で「看護実習生の祝福」という儀式があり、同窓会長として出席いたしました。2年生と学士編入3年生が、これから始まる本格的な実習の前に、医療職の自覚をもち、神から必要あるところに遣わされるという本学の建学の精神を確認するもので、2019年から行っているそうです。開始前の2018年、当時学部長だった堀内学長の発案と伺いました。

チャペルの改修工事やCOVID-19の感染拡大で、今年初めてチャペルで執り行うことができたとのことでした。五十嵐主教と上田司祭から、一人一人が祝福を受け、また一人一人の思いが、玄関ホールに張り出されていました。学生の感謝と覚悟が綴られているのを見ながら、私の学年がキャッピングの最後で、看護学を学びに大学に来たのに、看護師になるかを改めて問われるのは心外と、学生間でも学生と教員間でも論争したことを思い出しました。看護職に就きたいから看護学を学ぶ、看護学を学んだから看護職になれる、どちらもありだなあ、と感慨深く思いました。今回、久しぶりに校歌や聖路加讃歌(学園讃歌)を歌い、不思議なことに長かった教員時代でなく、学生時代を懐かしむ気分になりました。

実習服での式ということで、同窓会に出席のお誘いをいただいたのですが、今年も6月22日に実習服の贈呈式を行いました。同窓会からの実習服が、学びの励みになることを願っています。

(2023.7 文責菱沼)